犬・猫との車移動の注意点|キャリー・クレートの固定方法と車酔い対策

留守番・お出かけ

ドライブや帰省、動物病院への通院など、犬や猫と車で移動する機会は意外と多いものです。しかし車移動には、車酔い、車内からの脱走、熱中症、固定が甘いことによる怪我など、思わぬトラブルが潜んでいます。この記事では、出発前の準備からキャリー・クレートの固定方法、運転中の注意点、車内放置による熱中症リスク、酔ってしまったときの対処法まで、犬・猫との車移動で押さえておきたいポイントをまとめて紹介します。

犬・猫との車移動、まず気をつけたいこと

車移動を計画する前に確認しておきたいのが、その子にとって車移動そのものが負担にならないかという点です。持病がある、高齢で体力が落ちている、妊娠中である、といった場合は、短時間の移動でも体への負担が大きくなることがあります。

「長距離移動をさせても大丈夫か」「酔い止めは必要か」など、少しでも不安がある場合は、出発前にかかりつけの動物病院に相談しておくと安心です。特に持病の治療中の子や、これまで車移動をしたことがない子は、自己判断で長距離移動を決めず、専門家の意見を聞いておくことをおすすめします。

車酔いの基礎知識

車酔いのサイン(犬・猫で分けて)

車酔いは、早めに気づいて休憩を挟むことで悪化を防ぎやすくなります。犬の場合、まず「落ち着きがなくなる」「鳴く・吠える」「あくびが増える」といった初期のサインが見られ、そのまま進むと「呼吸が荒くなる」「よだれ・鼻水が増える」「体が震える」といった軽度の症状に移行するとされています。さらに進行すると、下痢や嘔吐、頭を下げてぐったりするといった重度の症状が出ることもあると紹介されています。

猫の場合は、よだれ、鳴き声が増える、落ち着きがなくなる、ぐったりと無気力になる、嘔吐や下痢、粗相といった症状が見られることがあります。犬に比べて症状が分かりにくいこともあるため、キャリーの中の様子をこまめに確認してあげるとよいでしょう。

車酔いしやすい原因

車酔いの主な原因としては、車の揺れによって内耳が刺激され、自律神経のバランスが乱れることが挙げられます。また、視覚から入る情報(景色が流れて見える)と、体が感じる揺れ・加速のズレが酔いにつながるとも言われています。

それに加えて、犬や猫は嗅覚が人間よりもずっと敏感なため、車内特有のにおい(芳香剤やガソリン臭など)が刺激になることもあります。さらに、車そのものに慣れていない、動物病院へ行くときしか車に乗らないなど、車移動=不安・ストレスという経験が結びついている場合も、酔いやすさにつながるとされています。なお、特定の犬種・猫種が酔いやすいという明確な裏付けは確認されておらず、個体差が大きい部分と考えておくとよいでしょう。

出発前にできる車酔い対策

車酔い対策は、出発前の準備で大きく変わってきます。

まず食事のタイミングです。空腹すぎても満腹すぎても酔いやすくなるとされているため、食事は出発の2〜3時間前までに済ませておくのが目安です。水についても、出発の約1時間前までに済ませておくと安心です。また、出発前に軽く運動させてエネルギーを発散させておくことも、車内で落ち着きやすくなる一助になります。

車に慣れていない場合は、段階的なトレーニングもおすすめです。いきなり長距離移動をするのではなく、まずはエンジンを止めた状態の車内に入れておやつをあげる、という慣らし方から始めます。慣れてきたら、エンジンをかけた状態で数分座らせる、近所を少し走ってみる、というように少しずつ時間や距離を延ばしていくと、「車=怖いもの」ではなく「車=楽しいことがある場所」という印象づけにつながりやすくなります。

においの対策も忘れずに行いたいポイントです。芳香剤など強いにおいの元になるものは車内から取り除き、出発前にしっかり換気をしておきましょう。

車内でのキャリー・クレートの固定方法

犬の場合

犬を車に乗せる際は、ハードタイプのクレートに入れて、後部座席またはラゲッジスペースに、進行方向に対して横向きになるように置き、ベルトなどでしっかり固定する方法が最も安全とされています。セダンタイプのトランクは、振動や排気ガスの影響を受けやすいため避けたほうがよいとされています。

クレートを嫌がる場合は、犬用のシートベルトハーネスを使う方法もあります。このとき注意したいのが、普段の首輪ではなく、専用のハーネスに装着するという点です。首輪のままシートベルトにつなぐと、急停止したときに首に強い力がかかってしまうおそれがあるため、ハーネスタイプを選ぶのが基本とされています。

猫の場合

猫は犬以上に、走行中は必ずキャリーやケージの中にとどめておくことが大切とされています。車内で自由にしてしまうと、物音や景色の変化に驚いてパニックになり、思わぬ場所に隠れてしまったり、運転の妨げになったりする可能性があります。

車移動用には、シートベルト固定用のホルダーが付いたハードタイプのキャリーが向いていると紹介されることが多く、キャリーごとしっかり固定できるかどうかを基準に選ぶとよいでしょう。

車内で自由にさせる危険性

「狭いところが苦手だから」「かわいそうだから」という理由で、車内でリードなしに自由にさせたくなる気持ちも分かりますが、これは運転の妨げになるだけでなく、急ブレーキや事故の際に車内で大きく飛ばされてしまう危険もあります。

日本の法律上、犬や猫にシートベルトの着用義務はありません。しかし、安全面からはクレートに入れて固定する、またはシートベルトハーネスを使って固定することが推奨されています。普段の慣らし方次第で、クレートの中でも落ち着いて過ごせるようになる子は多いので、短い移動から少しずつ慣らしていくとよいでしょう。

なお、キャリー・クレートそのものの選び方については、犬のキャリーバッグ・クレート選び方|帰省・防災・通院で使い分けで詳しく紹介しています。サイズの選び方や素材ごとの特徴など、車移動以外のシーンも含めて参考にしてみてください。

運転中・休憩中に気をつけたいこと

穏やかな運転、こまめな換気

車酔いを防ぐためには、運転の仕方も大きく影響します。急発進・急停止・急カーブはできるだけ避け、なだらかな運転を心がけましょう。また、こまめに窓を開けて換気をすることも酔い対策につながりますが、犬や猫が窓から顔や体を出さないよう、キャリー・クレートに入れた状態で行うことが前提です。

休憩の目安

長距離移動(2〜3時間を超えるような移動)の場合は、2〜3時間ごとを目安に休憩を取り、トイレ、給水、軽い運動の時間を設けてあげると、体への負担を減らしやすくなります。

休憩時の脱走対策

休憩中に起こりやすいのが、車から降ろした瞬間の脱走です。車のドアを開ける前に、リードを確実に装着しておくことが基本です。猫の場合は、キャリーに入れたまま車から降ろし、周囲に車や人通りがないかを確認してから外に出すようにしましょう。

万が一に備えて、迷子札やマイクロチップを装着しておくことも大切な備えです。なお、犬については狂犬病予防法により鑑札と注射済票の装着が義務づけられているため、普段から首輪に付けておくことを忘れないようにしましょう。

絶対に注意したい、車内放置による熱中症リスク

車移動で何より気をつけたいのが、車内に犬や猫だけを残して車を離れることです。

JAF(日本自動車連盟)の発表によると、2025年8月の1か月間だけで、子どもやペットを車内に残したままのキー閉じ込みによる救援要請が全国で194件あったとされています(2026年7月14日発表)。さらにJAFの検証実験では、気温35℃の炎天下で窓を閉め切りエンジンを停止した場合、わずか15分で車内の暑さ指数が人体にとって危険なレベルに達したという結果が出ています。

注意したいのは、真夏だけの問題ではないという点です。気温23〜24℃程度(5月を想定した条件)でも、車内温度が最高46.5℃にまで達したという実験結果も報告されています。つまり、「今日はそれほど暑くないから」「ほんの数分だから」という油断が命取りになりかねません。サンシェードを使う、窓を少し開けておくといった対策をしても、車内温度の上昇を十分に抑える効果は限定的だったという検証結果も出ています。

環境省の資料でも、犬や猫は汗腺が足の裏などにしかなく、人間のように汗で体温を下げることが苦手なため、暑さに弱い動物だとされています。短時間であっても、日陰であっても、エアコンを切った直後であっても、車内に犬や猫だけを残して車を離れることは避けましょう。

酔ってしまったときの対処・持ち物リスト

対策をしていても、車酔いの初期症状(落ち着きがない、よだれが増えるなど)が出ることはあります。そうしたサインに気づいたら、無理に移動を続けず、安全な場所に車を止めて少し休ませてあげましょう。換気をして、落ち着くまでそばで様子を見てあげることが大切です。

長距離移動の際にあると安心な持ち物としては、ペットシーツ、嘔吐や粗相があった場合に処理できるビニール袋とウェットティッシュ、使い慣れたタオルやブランケット、飲み水と容器などが挙げられます。

酔い止め薬については、人間用の市販薬を自己判断で与えることは避けましょう。人間用の酔い止めには犬や猫にとって有害な成分が含まれている場合があり、特に猫は薬物の代謝の仕組みが犬や人間と異なるため、注意が必要とされています。車酔いがひどく、頻繁に長距離移動をする予定がある場合は、事前に動物病院を受診し、獣医師の診察のもとで動物用の酔い止めを処方してもらうことを検討するとよいでしょう。

シーン別の車移動アドバイス

通院や近場のお出かけであれば、ここまでの対策で十分対応できることが多いですが、帰省など長距離・長時間の移動になる場合は、もう少し踏み込んだ準備が必要になります。宿泊先でのペットの扱いや、そもそも連れて行くべきか預けるべきかの判断も含めて、年末年始・お盆の帰省、ペットは連れて行く?預ける?判断基準で詳しく紹介していますので、長距離移動を予定している方はあわせて参考にしてみてください。

まとめ

犬や猫との車移動では、車酔いのサインに早めに気づくこと、キャリー・クレートをしっかり固定すること、穏やかな運転とこまめな休憩を心がけることが基本になります。なかでも、車内にペットだけを残して車を離れることは、短時間であっても熱中症のリスクが高く、強く注意したいポイントです。

体調に不安がある場合や、車酔いが頻繁に続く場合は、無理をせずかかりつけの動物病院に相談しながら、その子に合った移動方法を見つけていきましょう。

本記事は情報提供を目的としており、効果を保証するものではありません。健康状態や移動の可否について不安がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。

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